二社目、短期中心の人材派遣会社の営業
初めての転職活動を始めた俺だが、利用したのは「リクナビネクスト」「リクルートエージェント」の2つ。あんまり手を広げても使い切れないと考えたからだ。エージェントだと面談に行くのも面倒だし、交通費もかかる。転職サイトも登録が面倒だからだ。会社を辞めてから転職活動をしていたが、正直辞めてからの方が動きやすくて、俺は辞めてからの方がいいと感じた。その分生活サイクルは乱れるが……。
とにかく提案要素の強い営業がしたいと思っていた俺は、「提案営業」に絞って探していた。業界はあまり気にしていなかった。まあ、これが入社を後悔する大元になるのだが。ネット系のベンチャーにも採用されたが、ここは辞退した。ブラック臭が半端なかったからだ。そして人材派遣会社に採用された。が、今思えばここは採用前から少し怪しかった。
面接中から面接後の出来事
実はここの会社は、面接を二回受けていて、最初は実は営業ではない未経験の別職種だった。面接では「親が危篤状態で非常に急いで病院に向かわなければならない。その時に赤信号を無視するか？」という変な質問をしてくる企業だった（この質問だけは今までにされた事がなくて覚えている）。今考えてもなぜこの質問をしたのか意味がわからない。まあそれはいいとして、その面接は結局「経験者に決まった」という理由でダメだったが、営業で働かないかと打診された。転職活動が3ヶ月目に突入して焦っていた俺はそれを快諾してしまった。まだ3ヶ月ならまだ大丈夫だし、冷静になるべきなんだが……
もう一度面接をしたいということで再度面接。まあ採用前提で進んだ。すぐに採用の案内が来た。俺が応募した会社は長期の派遣を扱う会社だった。そして面接でもそうだった。
実際に働いてみると全く話が違う
入社してみて思った。転職組なのに同期が多すぎる。同期が5人、一週間前の入社が4人、俺の一週間後に4人。これは人の入れ替わりが激しいパターンだ。新入社員が多いため、研修もみんなでやる。まあ仲間意識は芽生えて楽しいは楽しかったが、出社も定時の一時間前を強要され、タイムカードがなく、いくら残業をしても残業代は出ないという酷い状態だった。前の印刷会社の時も上下関係はあったが、それほどではなく、ここは明確な上下関係があった。それもまたやりにくかった。
さらに求人票と話が全く違う。実際に俺が入ったのは、別会社で「単発の派遣」を扱う会社だった。でも保険などの正式な所属は面接を受けた会社で、名刺は2枚持たされて、時と場合によって使い分けろ、と言われた。また、求人票には「賞与あり」となっていたが実際にはなかった。さらに営業車がなく、自分の車を使えという話だった。
当時俺はトヨタの80スープラというスポーツカーに乗っていて、信号待ちをしていたら写真を撮られたり、コンビニに停めていたら幼稚園児が集まってきたり、走り仲間からもカッコいいと言われるくらい、俺の自慢の車だった。しばらくそれで頑張っていたが、やはりスタッフを送迎したり、企業に行くのに爆音スープラでは無理で、買い替えを余儀なくされた。それでも俺はこの会社で頑張ると決めていたから、買い替えてしまった。どうせ辞めるんだから、買い換えるんじゃなかった。愛車を手放してしまったこと、これが今でも俺の人生最大の汚点であり、黒歴史であり、最大の後悔だ。
派遣会社の仕事内容
入社してしばらくは研修。電話応対や派遣法の勉強、テスト形式で仕事の流れの勉強、そして社長レクチャーという社長の講義のまとめなどを行う。この社長が滑舌が非常に悪く、しかもマイクやスピーカーの質も悪くて非常に聞きとりにくくて苦痛だった。当時から思っていたが、研修というよりも、ブラックにありがちな「洗脳」だった。転職組は他社を知っているから、洗脳はされていなかったが、新卒組は完全に洗脳されていた。研修の段階で何度もやめようと思ったが、辞めちゃダメだ、と言い聞かせて頑張り、なんとか研修をクリアして支店に配属された。ここからが本当の地獄だった。
最初は先輩に同行して営業したり、テレアポしたり、飛び込みしたりをしていた。その後既存で大きな得意先を任され、そこを1人で回すのに四苦八苦。何故かと言うと、あまりに不人気の現場で一度働いたスタッフのほとんどが拒否をして、定員を送り込む事がなかなか出来なかった。スタッフを集めるためだけに平日の殆どの時間を費やし、土日も会社に行ってスタッフに電話をかけまくる日々。新規の営業もしなければならなかったが、ほとんど出来ず、営業というよりもただの「コーディネーター」と化していた。お盆休みもほぼなく、年末年始の休みもほぼなかった。当時いた彼女と長く続いていたが、その年末年始、旅行に行ったが、ずっと仕事の俺を見て旅行中にケンカをしてそこから段々と距離が離れていった。とにかく安い給料でこき使われた。
そこそこ期間が経っていくと、仲のいいスタッフも出来てきて多少は仕事を回せるようになった。コーディネーターの仕事はいくらかやりがいも見えてきた。ただ如何せん労働条件が悪かった。
前の印刷会社が非常に良く思えた。悪い所なんてほとんどなかった。四年もやっていたので、ある程度1人で仕事を回していたし、給料も世間の平均年収ほどもらっていたし、昇給もちゃんとしていた。まあ確かにマンネリ化していたし、煮詰まっていた部分もあった。でも、この派遣会社よりも数倍良かった。後悔しかなかった。
そして退職へ
この労働環境に疲れた事、ほとんど営業ができずにコーディネーターしかしていなくて、上司とも仲が良くなかった。そのタイミングで上司と揉め、「やる気ないんだったら帰れ！」と言われ、「わかりました、帰ります」と言って帰った。そして次の日退職。全く後悔は無かった。
というかこんな感じで辞めるんだったら、愛車を売るんじゃなかった。愛車は買取業者を数社呼んで競わせて高値を付けてくれた所に売った。業者が愛車に乗り込み走りだした時、俺は無意識に追いかけていた。そして距離が離れて行き、角を曲がって見えなくなった所で「行かないでくれ」と声に出ていた。まるで映画のワンシーンのようだ。それほど強い想いがこもっていた車だった。最高の相棒だった。俺は今でもスープラにまた乗りたい。
そしてまた転職活動が始まった。
とにかく派遣会社に入社してはいけない
最後にまとめるが、派遣会社には絶対に入社してはいけない。これはフリでもなんでもなく、忠告だ。よく「人売りビジネス」と言われるが、世間体が悪い。今までにも書いてきたように、労働環境がすこぶる悪いため、社員の入れ替わりがとにかく激しい。俺は一年持たなかったが、それよりも短いヤツもたくさんいた。そして頑張ろうとすればするほど洗脳されていく。俺は入社当時、あんまりネットで調べなかったから後悔している。だからちゃんとネットで評判は調べた方がいい。少しでも怪しいと思ったら、内定が出ていても、辞退した方がいい。辞退するのは勇気のいることかも知れないが、早い段階ならメール一通送るだけでいい。だって企業側だって不採用をメールで送ってくるんだから。そこで多少何か言われるかも……と恐怖心があるかもしれないけど、職歴に傷が付くのとどっちがいいかって話だ。石橋をしっかり叩いて叩いて渡るべきだ。
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